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第2章 第3話 市場争奪戦と、好感度バグってる敵幹部

Auteur: 夢見叶
last update Dernière mise à jour: 2026-01-30 20:09:03

 封筒を開いた指先に、油の匂いが移った。

 紙は上質なのに、インクだけがやけに黒い。文面は丁寧で、内容は乱暴だった。

 新商品が安すぎる。流通を乱す。撤回しろ。

 差出人は、王都の生活必需品を握る闇商会――金環会の名だった。

「閣下、新商品が……安すぎるとお叱りを受けました」

 机の向こうで、クロード様の羽根ペンが止まる。

「誰からだ」

「……独占価格で儲けてこられた方々から、ですわ」

「正しい仕事をして叱られるのは、いつものことだ」

 淡々とした声なのに、机上の空気だけが冷えた。

 国庫の赤線を減らすために灯りを作り、石鹸を回し、保存食を試した。誰かの夜を伸ばすつもりで。

 なのに、次に伸びるのは敵の影だ。

 クロード様が封筒の封蝋を指でなぞった。

 薔薇の輪郭と、硬貨の縁取り。甘い香りはないのに、棘だけは確かに刺さる。

「向こうは商談の席を用意した、断れん」

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